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お客様より「日本酒の賞味期限はどのくらいですか?」とご質問があります。また、記載されている製造年月は勿論、生酒、にごり酒等という種別でも、いつまで飲めるのか判断に迷う方が多いかと思います。
そもそも日本酒の賞味期限、消費者の皆様はどうお考えでしょうか?そんな疑問に、当蔵としての見解をお伝えします。少し専門的な話になりますが、ご参考になれば幸いです。

そもそも、酒の賞味期限とは

酒には賞味期限の記載義務がない

酒には賞味期限の記載義務がないまず大前提として、雑菌が繁殖しにくいアルコール飲料には『賞味期限』の記載義務がありません。(※1)したがって、日本酒でも記載されているのは「いつ製品化されたか」と言う基準による『製造年月』のみがほとんどでしょう(メーカーが自主的に賞味期限を設けている場合もあります)。

じつは、この『製造年月』も非常に奇妙で、記載しなければならないのは「酒がビンに詰められ製品として完成された月」であり、例えば10年前に仕込んだ古酒でも、今日始めてビンに詰められたのなら「製造年月は今月の日付で良い」というルールなのです。

「製造年月日が6ヶ月前の酒だから飲まない方がいいですか?」という質問をいただくこともありますが、機械化により1年中酒が造れる大手メーカーは別として、当蔵のように1年に1タンクしか仕込まない酒もある場合、「6ヶ月前の日付」でも「今月の日付」でも、中身は同じ酒と言うことが普通です。それが日本酒に限らずアルコール飲料の現状でしょう(ワイン等の輸入酒は仕込まれた年度のみで、月や日を記載していない物も多いのでは?)。

※1)賞味期限の記載義務
国税庁「お酒についてのQ&A」ページをご参照ください。
お酒に賞味期限はないのですか。また、表示しなくてよいのですか。
製造年月を表示していない酒類が見受けられますが問題はありませんか。

品質は常に変化している

また、あまり知られておりませんが、日本酒はワイン等と違い酸化防止剤(※2)の添加をしないため、保存時の時間・温度・光などの影響により、品質が変化しやすいデリケートな飲み物です。
そのような品質変化や、火落ち菌(※3)と呼ばれるアルコールの中でも繁殖できる珍しい菌の繁殖を防ぐために、日本酒は「火入れ」と呼ばれる熱殺菌処理を行います(その処理をしないものを「生酒」と呼びます)。

しかし厳密に言いますと、熱処理の有無にかかわらず、そして保存方法や保存状態にかかわらず、さらには皆さんの手元にあろうが酒蔵のタンクの中にあろうが、酒の味は大なり小なり変化しているのです。

※2)酸化防止剤
空気中の酸素による酸化や変質を防ぐために添加する物質のこと。参考情報のリンク
※3)火落ち
清酒に火落菌(ひおちきん)が増殖し、白濁、酸の増加、火落ち臭などが発生すること。参考情報のリンク

変化=劣化?

変化はイコール劣化なのか?ではこの「変化」はイコール「劣化」なのでしょうか?この判断こそ大変難しいところです。

例えば一般的な「味の変化」の傾向として、しぼりたての「溌剌としたフレッシュな味わい」を求めるならば1日でも早く呑んだ方が良く、逆に「幅のある深い味わい」を求めるならば一定期間時間を経過(熟成)させたもののほうが良い場合もあります。

また「酒蔵の出荷意図が何なのか」にもよります。
出来上がった酒をしぼった順番に出荷し、飲み頃はあくまでも呑み手に委ねる酒蔵もあれば、自分たちが目指す味わいになるまで出荷せず、味わいを自らコントロールする酒蔵もあるでしょう。

さらに、長期熟成の「◯年古酒」といった製品も極端な話しをすれば、同じビンに入れて同じ温度で管理したのであれば酒蔵で熟成させるのも、消費者が自宅で寝かせているのも、さほどは変わりないはず。古酒が好きな方は「好きな味わいになるまで待っていれば良い」と言う訳です。

いつまでが「熟成」で、いつからが「劣化」なのか?当蔵としては「呑み手がどんな味わいを求めているかによる」と考えていますので、一口に『賞味期限』と提示してしまうのはいささか乱暴、と思う次第です。

生酒やにごり酒の賞味期限は?

「生酒やにごり酒の賞味期限はどのくらいですか?」とのご質問も多くいただきます。生酒は「生」であるがゆえ、そしてにごり酒もその「にごり」ゆえ、取り扱いが難しいと思われるのでしょう。

「生酒」はデリケートなお酒

『稲里 にごり酒』まず「生酒」ですが、特徴は文字どおり、殺菌(日本酒の場合、多くは熱殺菌)をしていない「生」であると言うことです。

ここで物知りな皆さんは「アルコール飲料なのに雑菌が繁殖するの?」と思うかも知れませんが、先述したとおり世の中には「火落ち菌」と呼ばれるアルコールの中でも繁殖できる菌がいます。
人体には無害であると言われておりますが、日本酒に入り込むと濁りを生じさせたり、酸化を進ませたり、また香りを変質させたりするので、「火落ち菌」という名前が示す通り、日本酒は60度以上の温度で熱殺菌をすると言う訳です。

よって「生酒」は火落ち菌が活性しない「なるだけ低温で保管」すると同時に、開封後は「なるべく早く飲む」が鉄則になります。
また「生酒」は一般的に熱殺菌されたお酒よりも温度変化や紫外線による酒質の変化が大きいデリケートな傾向があるので、通常のお酒よりも早めに開封いただく事が美味しく楽しむコツと言えるでしょう。

「にごり酒」は育つお酒

『稲里 にごり酒』次に「にごり酒」。特徴は文字どおり、その「濁り=もろみ成分(お米の成分)」にあると言えます。この成分は一般的な清酒(※4)に比べ、日光や時間の経過により分離、変色、味が変化しやすいのが特徴です。

その特徴から多くの酒蔵は「飲み頃な状態に達した時点に出荷」するでしょうから、一般論として「にごり酒」は、他のお酒よりは少し早めに(出荷時の状態から変わらぬうちに)飲まれた方がよいのでは、と思います。

※4)清酒
米、米麹(こめこうじ)、水を主原料としてつくった醸造酒のこと。参考情報のリンク

とくに「活性にごり酒」は……

活性にごり酒『稲里 初搾り』特に当蔵の『稲里 初搾り』のような「活性にごり酒」は、瓶詰め後も酵母菌が醗酵し続ける(文字どおり生きて変化し続ける)ことが特徴なので、『賞味期限』を問われるならば、酒蔵の想定している味わいの時点「なるべくしぼりたてを飲んでください」が答えです。

しかし、あえて保存期間や保存温度にご自分なりの工夫を重ね「その変化を楽しむ=好みの味わいに育てる」というのも、他の酒にはできない楽しい飲み方だと思います(詳しくは「にごり酒の楽しみ方のページ」でご紹介しています。)

よって「賞味期限はいつですか?」と訊かれたら「あなた次第です」と答えたいのが当蔵の本音です。

結論:酒は、美味しい内が賞味期限

以上の理由から、当蔵の『賞味期限』に対する本音は、1ヶ月だろうが1年だろうが、そして10年モノだろうが、とりあえず味見して「旨かったら呑む」、「好みでなかったら料理酒にするなり、風呂に入れるなりして活用するがオススメ」としか言い様が無いと、言うところでしょうか……。

まあ、日本酒はアルコール飲料なので、ちょっとやそっとの経年変化では飲んでもお腹が痛くなるようなことは無いと思います。『製造年月』や『賞味期限』の有無にとらわれず、その酒の、その蔵の、その年の、その季節の、その日の、その時の「飲み頃」を探しながら楽しむのが、もっとも上手な「日本酒の楽しみ方」と思います。

ご不明点はお問合せください

以上は「磯蔵酒造の製品に対して」とご理解いただきたく思います。考え方は酒蔵それぞれであり、広く日本酒業界を代表してお伝えする物ではありません。
しかし、吹けば飛ぶよな小さい当蔵の、昔ながらの手作りに価値を見出してくださる方に向けて、今後も誤解を恐れず蔵のポリシーをお伝えし続けていく所存です。

製品についてのご意見、ご質問、ご不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。皆様からの反響は、製品造りの大きな励みになります。
今後とも磯蔵酒造と『稲里』をよろしくお願いいたします。

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